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司法制度

2017年3月 7日 (火)

「依頼者見舞金制度」の設立

2017年3月3日の日弁連臨時総会で,弁護士による横領の被害に遭った依頼者に見舞金(上限500万円)を給付する「依頼者見舞金制度」の創設が可決されました。

私自身は,この制度の導入そのものに積極的に反対するつもりはありません。
弁護士による横領が相次いでいる現状からすれば,導入はやむを得ないと考えています。

ただ,この制度は,あくまで弁護士による横領が起きた後の救済手段であって,弁護士による横領を防止するものではありません。
この制度を導入する前に,横領を防止する方法について,もっと議論がされてもよかったのではないか,と思います。

2013年1月18日の「弁護士の一連の不祥事に関する理事会決議」では,

当連合会は、一連の事件に対する厳正な処置と原因究明を徹底します。また、原因究明の結果を踏まえ、今後弁護士がこのような不祥事を起こさないための再発防止に全力を尽くします。

と述べられています。

この決議から既に4年以上が経ちましたが,再発防止のために全力が尽くされたと本当にいえるのでしょうか。

弁護士会が預かり金を管理する「カルパ」制度の導入は何年も前から指摘されています。

また,横領事案の中には,資金繰りに窮した弁士が事務所運営費や生活費に充てるために横領に及んだ例も少なくありません。経営が立ち行かなくなった弁護士に対する(廃業も含めた)支援も必要でしょうし,今後はその重要性が増していくと考えられます。

理事会決議にあるとおり,原因究明を踏まえた再発防止のための取り組みが今後尽くされていくことを望みます。

2014年4月 9日 (水)

修習生の就職活動

ロースクール生の学習指導をしている関係で,修習生の就職が年々厳しくなっていることを色々なところで耳にします。

私自身も就職活動はかなり苦労しましたが,自分が採用する側に回って思うのは,結局,就職活動とは,「その事務所にとって必要な(=採用したいと思う)人材」であることをアピールできるか,ということに尽きる,ということです。

具体的に何をすればいいかというと,「その事務所にとって必要な(=採用したいと思う)人材」であることをアピールするためには,まず,その事務所がどのような人材を求めているのか,を把握する必要がありますよね。

「給料を払うんだからきちんと言うことを聞く人が欲しい」という事務所もあるでしょうし,「多少生意気でも,高い志を持った人を育てたい」という事務所もあるでしょう。
ニーズはそれぞれの事務所によりけりです。
その各事務所によりけりなニーズを,どのくらいの規模の事務所なのか,何期くらいの弁護士で構成されているのか,どのような業務を主に取り扱っているのか,などの情報から推測していかなければなりません。
ですので,その事務所の所属弁護士と実際に会って話しをする機会は極めて重要です。
個人的に飲みに行けて,ざっくばらんなところを聞ければ言うことなしですね。

で,その事務所が求める人材が把握できたら,提出を求められている書類の中で可能な限りの自己アピールです。
ただ,過度なアピールは,かえって嘘臭さを感じさせることもあるので,さじ加減も重要になってきます。
また,いくら書面上でその事務所のニーズに応えるようなことを書いても,裏付けとなる経歴や職歴,ロースクール時代の活動等がないアピールは結局奏功しないようにも思います。
特に,その事務所が求める人材であれば当然経験しているであろうはずのことを経験していない,ということであれば,すぐにでも経験するか,いさぎよく諦めた方が良いかも知れません。
そうすると,採用される可能性のある事務所というのは,ある程度絞られるのではないでしょうか。

あとは,手持ちの材料(経歴等)をいかに上手くアピールできるかにかかってきますが,その事務所の所属弁護士との相性等にもかなり左右されるので,運の要素も正直なところ大きいです。
要は,手持ちの材料を使って,自分が最大限相手に気に入られるためにはどうしたらいいのかを考える作業ですね。
なので,恋愛に近いというのは的を射た比喩だと思います。

というわけで,採用されるかどうかは,必ずしも努力でどうにかできるわけではないので,あまり一喜一憂せず,丁寧に自分をアピールしていくことを心がけると良いと思います。
なにより,自己アピール力は,仕事を始めるようになってからも(むしろ,なってからこそ?)必要です。

最後に,募集要項を満たさない履歴書等は本当に論外です。
必要的記載事項がない履歴書等を見ると「この人は訴状の必要的記載事項も漏らすんだろうな。」と判断します。
雑な履歴書等も同じことがいえます。
書類選考を行う事務所では,提出する書面がすべてになりますから,何よりも丁寧に作成することを心がけましょう。

2013年6月16日 (日)

弁護士の平均年収2,000万円のカラクリ

「若手弁護士の窮状」という記事で,東京の若手弁護士の現状についてご紹介しましたが,巷では,「弁護士は依然として高収入の仕事だ」という声も依然として聞かれるところです。

【コラム】弁護士は本当に稼げない仕事になったのか

こちらは,「伊藤塾」のホームページに掲載されているコラムですが,この中では,平成22年の弁護士の平均収入(※経験5年目の弁護士)は2,167万円であると紹介されています。

この数字は,コラムの中に記載されているとおり,平成23年7月13日付法務省発表の「法曹の養成に関するフォーラム」が行ったアンケートの結果です。

確かに,アンケート結果のうち10頁目では,平成22年の経験5年目の弁護士の平均収入は2,167万円であるとされています。

しかし,この数字は,登録5年目の弁護士の実態を正しく反映しているのでしょうか。

アンケートの結果のうち4頁目を見ると,平成22年時点で登録5年目となる弁護士(修習期58期)のアンケート回収率は,わずか11.3%に過ぎません。
このアンケートによる平均年間収入2,167万円というのは,アンケートに回答した登録5年目の弁護士11.3%の平均値であって,残りの88.7%を含めた平均値がこのとおりであるわけではないのです。

なお,ここでいう「収入」とは,経費(事務所の家賃や,事務局の給与や,弁護士会費等)を差し引く前の売上額ですから,これらを差し引いた後の「所得」は当然これより低くなります。
このアンケートには「所得」の平均値も掲載されていますが,平成22年の経験5年目の弁護士(のうち11.3%)の平均所得は1,107万円です。
(コラムの中では民間企業の年間給与と弁護士の「収入」の比較が行われていますが,「所得」と比較すべきだと思います。)

また,国税庁の統計(登録弁護士の8割超が対象)によると,平成22年では,6割以上の弁護士が年間所得1,000万円以下(500万円以下が全体の4割近く,200万円以下が全体の2割以上)とのことですが,こちらの統計の方がよっぽど実態をよく現していると思います。

2013年6月 9日 (日)

若手弁護士の窮状・その3

というわけで,登録4年目の弁護士の目線から,主に若手弁護士の現状について書いてみましたが,登録1~3年目の弁護士についてはちょっと事情が異なる部分がありますので,少しだけ補足します。

東京弁護士会の場合,登録1年目の弁護士には,弁護士会の法律相談の割り当ては研修枠の1回以外にはなかったと思います。
なので,弁護士会から割り当てられる仕事は,当番弁護と国選弁護だけになるはずです。

登録2~3年目は,法律相談のうち,一般相談やクレサラ相談については割り当てがありますが,それ以外の相談の中には,登録後満3年が経過していることが相談担当の要件となっているものがありますので,そういった相談についてはやはり担当できません。
また,破産管財人の業務も回ってきません。

そして,法律相談もキャンセルが多いこと,国選が取り合いになっていることはこれまでの記事で書いたとおりです。
(まあ,こんな状況なわけですから,取り合いにもなりますよね。)

弁護士会費については,1~4年目までは減額されていますが,それでも月々2万円前後は納めなくてはなりません。
事務所にかける経費を10万円以下に抑えたとしても,月30万円くらいの支出は覚悟しなければなりません。
これを賄える程度の収入を自力で(弁護士会から割り当てられる業務以外から)確保できないとなると,東京で即独するというのはなかなか厳しいものがあります。
特に事件を受任するツテがないとなると,最初の1年間の支出を賄える程度の貯蓄がない限り,即独は難しいのではないかと思います。

と,日々の業務の中で思うことを色々書いてきましたが,東京での開業を検討されている66期の修習生の皆様のご参考になれば幸いです。

若手弁護士の窮状・その2

『年収70万円以下? 客の金に手を出す貧乏弁護士の懐事情』(PRESIDENT 2012年12月3日号)

こちらの記事の中で,弁護士の現状について様々なことが書かれていますが,そのうちのいくつかについて,若手弁護士の目線からコメントしてみたいと思います。

>個々の弁護士も、事務所に居候する“イソ弁”どころか、籍だけ置く“ノキ弁(軒先)”、寄り合いでアパートを借りる“アパ弁”、ケータイ1つで徘徊するケータイ弁等々、最難関資格の名が泣くような呼び名が拡散している。

ノキ弁はもう一般的な形態といってもいいのではないでしょうか。
ただ,アパ弁,ケータイ弁はいままで出会ったことがありません…。

>国税庁の統計によれば、2009年の東京を拠点とする弁護士1万5894人のうち、 年間所得70万円以下が実にその3割に当たる4610人もいるのだ。

所得ベースで話をすることがないのですが,年間所得70万円以下という方は,私がこれまで出会った方の中にはおそらくいらっしゃらないと思います。

>割に合わないと敬遠されてきた国選も、今は「朝9時に弁護士会館で公開され、そこに弁護士が殺到して奪い合う状態」(都内の中堅弁護士)という。

私が所属している東京弁護士会についてですが,これは本当です。
大体,その日の事件数の1.5倍~2倍くらいの弁護士が集まってくじ引きをしていることが多いです。
事件10件に弁護士15人が集まる,というようなイメージです。

>弁護士業界では、車内広告やCMを出すにはまだまだ抵抗がある。 ネット広告で取れる客は、「多重債務、離婚相談、交通事故の3つだけ」(同)。

そんなことはないと思いますが…。
単に,広告費と効果のバランスの問題ではないでしょうか。

>口コミやリピーター以外の客をつかむ場といえば、弁護士が主催する一般人相手の「法律相談」だが、今は客足が激減している。 「弁護士会のすぐ近くで、法テラス(日本司法支援センター)が無料で法律相談をやっている。そりゃ、タダのほうに流れますよね」(若手)

弁護士会の法律相談は,割り当てられた相談担当日のうち,2回に1回はキャンセルになる,というくらいのイメージでしょうか。
ただ,最近は法テラスの相談も減ってきているという話をチラホラ聞きます。

なお,以上はすべて2013年6月時点の状況を前提にしたコメントです。

若手弁護士の窮状・その1

ここ数年,弁護士数の急増に伴い,若手弁護士を中心に,その窮乏ぶりが話題にのぼるようになってきました。

「ノキ弁」,「アパート弁」,「ケータイ弁」といった呼称が使われるようになったり,年間所得が70万円以下の弁護士が多数存在することが明らかになったりと,弁護士の窮乏ぶりを示す様々な情報に接します。

私自身も,登録4年目ということで,いわゆる「若手弁護士」に属するわけですが,その若手弁護士からみた「東京の若手弁護士の現状」について,少し書いてみたいと思います。
(なお,以下の記載は,私個人の情報ではなく,東京弁護士会における4年目の若手弁護士を想定しています。)

1 月々の支出について

東京弁護士会の場合,登録4年目になると,弁護士会費として月4万200円を納付することになります。
その他に,国民年金保険料月1万4930円,国民健康保険料月1万6000円がかかります。
あとは,事務所経費と生活費ですが,それぞれ約20万円ずつと仮定すると,合計で約47万1130円が月々の支出になります。

その他に,住民税や奨学金がこれに上乗せされていくというイメージでしょうか。
全部ひっくるめると,大体,月約50万円前後になるのではないかと思います。

2 収入について

事件を受任するルートが確立されていない若手の場合,弁護士会の法律相談や当番弁護,国選弁護に頼る割合が比較的多くなると思います。

では,弁護士会の法律相談や国選弁護がどのくらいの頻度で回ってくるかというと,弁護士会から割り振られるのは,大体月1件いかないくらい(それぞれについて,2ヶ月に1件くらい)でしょうか。

ちなみに,法律相談は予約が入らずキャンセルになることもあり(というか,最近はキャンセルの方が多いかも知れません),当番弁護も必ず配点があるとは限りません。また,国選弁護も,事件数以上の弁護士が集結しての取り合い(くじ引き)です。
ですので,弁護士会からの割り当てだけではとても支出(月50万円)を賄うだけの収入は得られません。

そのため,法律相談や国選弁護の交代者募集(割り当てられた担当日では都合が悪いため,他の弁護士に交代を打診する)には,もの凄い数の手が上がります。
(以前,交代をお願いしたときには,交代者募集のメールをMLに送ってから10秒以内に10人近くの先生からご連絡をいただきました。)

付け加えると,東京弁護士会の場合,国選弁護の担当は月5件までと決まっているので,大体報酬が7~8万円のことが多い国選事件では,5件フルに担当しても月50万円には届かない可能性が大です。
(もっとも,そもそも月5件国選弁護を担当することが至難の業であることは,交代状況に関する記述からお分かりいただけると思いますが…。)

このような状況ですので,弁護士会からの割り当てに頼れない以上は,自分で事件を見つけてきて稼ぐしかありません。
が,既に弁護士が飽和状態にある東京で,人脈や経験で劣る若手が自力で事件を見つけてくるのもまた至難の業。
そんなわけで,窮乏する若手弁護士が急増しているというのが実態なのではないかと思います。

じゃあどうするのかというと,収入が増えない以上は,支出を削るしかありません。
とはいえ,会費や社会保険料は削れませんから,あとは事務所経費と生活費を削るしかありません。
最近は,レンタルオフィスのようなところを使って事務所経費を5~10万円に落とすか,あるいは自宅を事務所にするという若手弁護士も増えていますが,それは,上記のような状況があってのことなのです。

2011年10月23日 (日)

修習生と生活保護

今年から,修習の給費制が廃止され,貸与制に移行することに伴い,「もう生活保護を申請するしか・・・」という司法試験合格者の声や,「修習生は生活保護申請をしてみたらどうか」という法曹関係者の声がちらほら聞こえるので,これについての個人的見解を。

貸与制のもとで,修習生が生活保護申請をするということには,2つの意味合いがあると思います。
①1つは,実際に生活保護を受給すること。
②もう1つは,貸与制に対する抗議活動としての意味。

ただ,前者【①】については,補足性の原理(生活保護法4条1項)との関係で,修習生の稼働能力の有無がまず問われるでしょう。
「兼業禁止があるから稼働能力がない」という方もいらっしゃいますが,兼業禁止は修習に行くからこそ生じるのであって,修習に行かないという選択肢がある以上,修習生一般に稼働能力がないという主張は認められないように思えます。

もう1つ,稼働能力活用の意思についても問題があります。
修習に行かなければ職を得て働くことができるにもかかわらず,あえてこれを放棄して(無給の)修習に行くということは,「法曹という特定の職業に固執して,稼働能力を活用する意思がない」とされる可能性が大きいように思えます。

これに対して,「修習は実質的に義務である」という反論もあります。
ただ,「実質的に義務である」ということは具体的にどういうことなのでしょうか。
「修習に行かなければ法曹になれないのだから,実質的に義務である」ということでしょうか。

もちろん,実態としては,修習に行かないで法曹になることはほぼできませんので,法曹になることを前提とする限り,修習が実質的に義務であることは間違いありません。
それにもかかわらず,貸与制の下で修習専念義務を課す現行制度はおかしいとは思います。

ただ,それはあくまで給費制維持(あるいは,専念義務の廃止や,修習制度自体廃止)の主張の根拠であって,生活保護受給の根拠になるかというと,法曹にならないという選択肢も存在する以上,個人的には疑問です。

次に,(受給の可否はともかく)貸与制に対する抗議活動として,生活保護申請をするということ【②】について。
これについては,各修習生の判断としかいいようがないですが,生活保護申請のために貸与を受けず,かつ,生活保護も受給できなかったとき,その修習生はどうするのだろうと考えると,これにもすごく疑問が残ります。

こう考えると,この問題はやはり給費制の維持の問題であって,あくまで給費制の維持を主張するか,あるいは,専念義務の廃止や修習制度自体の廃止を主張するべきなのだろうと思っています。